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日本のお金持ち妻研究

(2008-09-24)
ブログを新しくしたので、珍しく2日連続で書きます。

階層研究において、女性の地位をどう測定するかというのは、難しいテーマであり、技術的にも、社会学者を悩ませてきた問題です。端的にいえば、単に技術の問題ではなくて、どの様な指標を使うかということ自体が難しいというか、立場を迫られる問題ですものね。「自分で200万円稼ぐOLと夫の年収が800万円の専業主婦の階層をどう較べればいいのか?」という問いには、社会学者じゃないひとでも頭を悩ませるでしょう。

女性の場合は、結婚による階層の再定義が気になるところですが、『日本のお金持ち妻研究』は、その謎に迫れるのか、と思い、かなり期待して読みました。序章、「容姿端麗は絶対条件ではない」。かなり期待を抱かせますね? 以前橘木さんも『女女格差』で編集者に薦められたと容姿論を熱心に展開されていた(でも、ちょっと裏切られた)記憶があるのですが、後書きで確認したら、どちらも東洋経済の同じ編集者の方でした。うむむ、面白いですね。

それはさておき。お金持ち妻は、容姿端麗である必要はないそうです。えっ、玉の輿って美人じゃなかったの?と思われるかもしれませんが、考えてみれば当たり前のことかも。というのは、調査対象者は、年収一億の超金持ち(に年収3000万円以上のひとを加えたもの)だから。それだけお金持ちだったら、「コンパニオンから玉の輿」みたいなルートがほとんどないのがわかります。それで超お金持ち妻は、ブランド物にも関心がなくて、倹約家なんですって。超お金持ち妻にかんしては、確かに納得。

で、疑問に思うのは、それでは、「ブランド物をたくさん持ってます~」というような、雑誌に出てくる成金(?)美人のそれなりお金持ち妻は、どこから来てるの?ってこと。わたしはむしろそちらのほうが気になりました。あと、調査対象者は、よくわからなかったのですが、6000人の超お金持ちの全数と、ランダムサンプリングをした3000万円以上のそこそこお金持ちの1000人の合計7000人にアンケートを郵送して、有効回答数は、108通だったということだったんでしょうか? うーん、ちょっと少ないのでは…。「キャリアウーマンからお金持ち妻」ルートが意外に多いという結論でしたが、それは超お金持ちにも当てはまるんでしょうか? そこそこ(というネーミングが妥当かは疑問でもありますが)お金持ち妻は、納得がいくんですが、超お金持ちって、いまだにお見合いとかして、財産を守るようなイメージがあるんですけど。どうなんだろう?

個人的には、「お金持ちの出産、家事、育児、子育て」をもう少し読みたかったです。お金持ちの子ども数が少ないことは、家族社会学では、ある程度、もう通説になっているのですけどね。「子どもに教育をしようとすればするほど、子ども数は少なくなる」というのは、もう自明のとされるほどなんじゃないかな? この要素が抜け落ちていると、ちょっと説得力に欠けます。そして子どもを教育によって階級上昇させようと思うとき、重要なのは、母親が高学歴専業主婦であること、というのも教育社会学ではある程度常識なのでは? 専業主婦の分析のときに、それは外せないかも。ほかの分野のジェンダー・家族研究と照らし合わせながら、分析をされると、もっと分析が豊かになったのではなかなと思いました。

うーん。何だか、書いてみると辛口の感想ですみません。でも面白いテーマだと思いました。

日本のお金持ち妻研究
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はじめまして

はじめまして。著者の1人、小林本人です。
いち早く『日本のお金持ち妻研究』の書評を出して頂いてありがとうございます。
ブログにお返事したものかどうか、ずっと迷っていたのですが、年も改まったことですし(?)若干の説明をさせてください。

まず結婚による階層の再定義は本書では述べていませんが、現在アレコレ考えていますので、今後をご期待下さい。またサンプル数は力の及ぶ限り健闘したとご理解下さい。

お金持ち度の感じ方は人によって違うようで、多くの方々の反応を見ると「平均所得9000万、最頻で5000万」というのは「超!お金持ち」と感じるようです。
その一方、日本のトップ企業の創業者の孫とかでないと「本当のお金持ち」とは言えないという人もいて、その妻の結婚行動を調べてみるのも面白いかもしれません。

それから雑誌に出てくるブランド妻ですが、消費性向が高いお金持ちも4分の1ほどいますし、平均消費額が500万を越える人々も15%ほどいて、高所得者にはゴージャスな消費生活を送る人々も当然ながらいるわけです。(これは本文中にも書いています)ただ大勢ではないということです。

本書は一般の人々に読んで頂くことを目的として分かりやすく、楽しく読めるように書いたものです。そのため専門的な議論は脚注にバンバン回し、文献参照としています。
例えば専門家は「お金持ちは子ども数が少ない」という認識がありますが、一般の人は「お金があれば子どもを多く持てる」と思っているので、それに対して反証し、詳細な議論は4章脚注(10)に書いています。また私自身も子供数が所得に対して、本当に線形というか右下がりにマイナスに変化するのか疑問に思っておりました。「超お金持ちなら子供が多いのでは?」と考えていた訳で、そういうスタンスで書いています。

しかし著者2人とも経済系から来た人間なので、確かに「お金持ちの出産、家事・・」の部分はジェンダーや家族研究のご専門の方々から見ればかなり薄いかなーと思います。参考になる必読の1冊などご紹介頂ければ幸いです。

ちなみに本書のハイライトは2章から3章で、富裕層妻の就業確率が高まるということと、その理由として家計の内部構造にまで踏み込んだという点で画期的だと自負しております。また5章の「女中年表」もナカナカよく出来ていると自画自賛しておきます。

とはいえ最も注目されたのは「お金持ちと結婚するためには、美貌を磨くよりも知性を磨くのが王道」という部分でした。ムフフフ・・・・。
では、今後とも宜しくお願い致します。

小林さんへ

わー、ご本人からコメント、本当にありがとうございますm(__)m
それなのに、お返事がこんなに遅くなって、かえすがえすも、すみません。実に申し訳ない…。

年収5000万円、9000万円、一般のひとたちがお金持ちと感じるのは、わかります。そうでしょうね。ただディシプリンの違いだとは思うのですが、社会学ではサンプリングにかなりのこだわりをもっているので、そこでちょっと引っかかっちゃっただけなのです。

子どもと階層の関係って、面白いですよね。統計データがかなりあります。それによると「貧乏人の子沢山(表現に問題がありますが)」「お金がないと子どもも産めない」の双方の主張が正しく、あとは年収と相関して、子ども数は減っていきます。

「子どもが大事にされ、教育に投資される層になればなるほど、子ども数が減っていく」というこのテーゼは、家族社会学ではほぼ「常識」に属すものですが、翻って考えてみると、確かに一般的には、反対に考えられているのかも知れませんね。気がつきませんでした。

コメント、本当にありがとうございました。
お返事が遅くなりましたこと、重ねてお詫びいたします。
今後ともよろしくお願いいたします。
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千田有紀

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メールはsendayuki☆☆gmail.com(☆☆を@に変える)にお願いします。東京外国語大学のアカウントとソネットのアカウントは、すでに使用を中止しています(はじかれませんが読めません)。

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今まで書いた論文の一部を紹介します
日本型近代家族―どこから来てどこへ行くのか
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日本の近代家族について。ここ10年ほど書きためたものと、1990年代以降の変化を踏まえて日本の近代家族をどうとらえればいいのかの書き下ろし。
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いちおう上野さんの退職記念論文集です。あまりない形式かもしれませんが…。
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カラスヤ サトシ 千田 有紀
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アフタヌーンKCから出ていますが、いちおう対談本です。 もちろんカラスヤさんのマンガもふんだんに。
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