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格差社会と名づけ

(2008-11-17)
今、社会学で一番大きな問題といったら、格差社会論なのは間違いないだろうけど、格差社会について語るときの、居心地の悪さっていうのは、何なんだろうなぁ…。とくに文化資本や教育について語るときの居心地の悪さ。

階層の低いひとは経済を重視し、中産階級は文化資本を重視し、もっと上になると、社会関係資本を重視する、とか聞くと(何に書いてあったのかは、忘れた)、経験的にもそうだろうなぁと思うけれど、かなり居心地が悪い。教育の戦略についても、教養のある母親は、厳しくも育てまた子どもの個性をみることもでき、そうでない母親は、教育そのものに関心がなく行き当たりばったり、って、本当にそうだろうなぁと思うけれど、どうも居心地が悪い。計量調査ならまだ居心地の悪さが緩和されるけれど、インタビュー調査だったりすると、わたしにはこの居心地の悪さに打ち勝つことができないなと思ってしまう。いちおう階層の再生産のメカニズムを明らかにするという目的はあるものの、わたしたちもその社会の一員であることから逃れられていないので、かなり居心地が悪いです。

そういえば、『子のつく女の子は・・・』という本がありましたが、親の文化資本をいちばん感じるのは、子どもの名づけですよね。名前は、子どもに対する一番最初のプレゼント、という言い方がありますが、まさにそのとおりだと思います。それも悪い意味でのプレゼントを貰ってしまう子どもは、結構気の毒だ。

昔からちょっと変わった名づけっていうのはあったけれど、それはむしろ親がインテリの場合が多かったような気がする。すごくマイナーな哲学者や作家の名前だったり、小説のなかの登場人物の名前だったり、ラテン語とかフランス語とかから採った名前であるとか。変わった名前がむしろ親の教養をあらわしていたことのほうが多かったように思うけれど、今はむしろ、「たまひよ」名づけ本以降からなのか、本当に変わった当て字の名前が、インテリではない方の階層に多いような気がする。どう考えても読めない当て字であるとか、外国語や日本語でも変な意味をもつ言葉であったりとか、音からとったらしい漢字の意味がかなり悪い意味をもっていたりとか。名前の規制緩和が続いて、名づけが、親の教養を示すというか、無難な名前が減って、「個性」をもたせようとした挙句、親の個性がでちゃったというか(具体名を挙げにくいけど、自分の愛車の名前を子どもにつけました!とかいわれると、「そうですか…」と反応しにくい気がする…)。

名前は一生子どもについてまわるということを考えると、マイナスからのスタートは気の毒だなと思ってしまうのは、わたしだけでしょうか? わたしの名前もそう変わったものではないはずなのに、小さい頃は「子」のつかない名前がでてきていたけど、親の世代が「子」がつく名前が当たり前だと思っていたので、勝手に「子」をつけて呼ばれる経験などがあったなぁ。それだけではなく、「有」という字の変わりに「由」という字を使うのが普通だったため、今でもしょっちゅう、間違った名前が書いてあることがあり、「違います」と訂正するのも自意識過剰のようだけれど、訂正しないとそのまま印刷されてしまうので訂正せざるを得ず、また何度も間違えるひとがいるので、訂正するのにこちらが気を遣ってしまったりして…。わたしの名前程度でそうなのだから、変わった名前は、どうなんだろうと心配してしまう。

電話で名乗ったときに聞き返されず、口頭で漢字を説明できる程度の名前あたりが個人的にはベストかなぁと思う。外国語で困った意味をもたない名前のほうがいいかなぁとも思いますが。でも社会学のひとじゃないひとたちとの居酒屋トークで、「名前って親の文化資本が現れるよね」といったところ、評判が悪かったです。まるでわたしのほうが差別しているかのようになってしまったのですが、これが、格差社会を語り居心地の悪さのひとつかも。文化資本を判定しているのは誰なのか。でも奇想天外な名前に「いい名前ですね」とかって、思わないときにはいえないなぁ…。

まぁそんなこんなの格差社会なんですが、『good! アフタヌーン』で漫画家のカラスヤサトシさんと対談しているのでよければ御笑覧ください。「見たよ~」と意外なひとが漫画を読んでいて、驚きました。




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非公開コメント

コメントありがとうございました

非公開コメント有難うございました。気がつくのが遅れました。

××さま(いちおう匿名に)
名前は難しいですよね。おかしな名前をつけられた子どもは励ましてあげるしかないのかもしれません。名前はすぐれて社会的なものだなぁということを強く感じますよね。

改名については、家族社会学の学説史(?)を研究しているときに、有賀喜左衛門が襲名しているあたりで、へぇと思いましたが、いろいろと改名するには条件があるのですね。とくにここで関係するのは、

変わりすぎている名前、珍名、一般的に読めない名前、外国人に間違えられる名前など、社会生活上に支障があると認められた場合

だと思うのですが、読めない、変はさておき、外国人に間違えられるというケースもOKなのは、考えてみると変ですよね…。でも今は多いけど。

質問にお答えすると、昔は名前は個性を現すという考えが新しかったのだと思うのですが、今は個性化のなかで、逆に平凡な名前こそがいいのだという回帰がなされているような気がします。太郎とか一郎とか、以前だったら平凡だと考えられる名前とかが、考え抜いた人の中に逆に多かったりするのが面白いですよね。

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日本の近代家族について。ここ10年ほど書きためたものと、1990年代以降の変化を踏まえて日本の近代家族をどうとらえればいいのかの書き下ろし。
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