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草食系男子の恋愛学

(2009-05-13)
森岡正博さんの『草食系男子の恋愛学』を読みました。

草食系男子の恋愛学
草食系男子の恋愛学
posted with amazlet at 09.05.13
森岡正博
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草食系、というのが流行しているので、卒論指導ほかで、一通りのことがいえないと困るかなぁと、草食系文献を集めているだけれど、この本は、実はそれほど草食系については関係ありません。どちらかといえば、「もてない」「冴えない」と自分で自分のことを思っている男の子にエールを送る、マニュアル本です。

いい本です。フェミニズムにも造詣が深い森岡さんが、フェミニスト的視点から、女性を「対等なパートナー」として尊重しつつ、関係を結んでいくにはどうすればいいのかを考えた本です。本当に、お薦めです。

でも一方で、男性とフェミニズムの関係、って難しいなぁと思ったのも事実。

というのは、最初に書店で手に取ったとき、「社会のなかの女性を考える」という部分が目に入ってきて、なんともいわく言い難い違和感を感じたからです(一貫して読んだら、それほどでもなかったんですが)。

社会には、女性に子どもを産んで欲しいという期待があって、結婚していない女性のなかにも、「自分の身体を使って出産をしてみたいという願望を持つ者はいる」。「多くの女性が、妊娠や出産を、自分の人生に訪れるであろう最大の転機として考えている」。しかし子どもをもつ女性の自己肯定が、「子どもを産まないあなたたちには、女の幸せはやってこないのよ」と高らかに宣言されているように聞こえることもある。仕事などで子どもを持たない女性のうちには、いくら気の強い女性であっても、「夜中に一人で泣き崩れてしまうくらいのしんどさ」に見舞われることもあるに違いない。子どもをもたない選択をした女性の中には「自分のいままでの人生は全部間違いだったのだろうか」という思いがこみあげてきて、本屋で出産を讃える本をみただけで、その場に座り込んでしまいそうになるひともいるそうだ。不妊治療を受けている女性は、「自分はもう女性として生きている価値がない、というところまで追いつめられることもある」。女性の身になって考えてみよう!!(このパラグラフ、森岡さんの本からの要約。「」で引用したところは、森岡さんが、ゴチックで強調しているところ)。

いや、その通りです。本当にその通りなんだけど、…なんでこんなに居心地が悪いと思うんでしょう? もうこれは森岡さんのせいではなくて、自分の「感受性」の問題なのだと思いますが。

まず、女性から、「夜中に一人で泣き崩れてしまうくらいのしんどさ」に見舞われるといわれれば、そうだねぇと共感し、「自分のいままでの人生は全部間違いだったのだろうか」という思いがこみあげてくる、といわれれば、そう。どんな人生を選択しても、その思いから完全に逃れられる女性はいないよね、と思いますが、そのエピソードが、「女性」の出産への思い、子どものない「女性」の人生の大変さ、淋しさ、へと一般化されて男性の口から語られると、

いや、待って。もちろん、出産を肯定的にとらえているひともいるけど、出産をしたくないという気持ちをを表に出せないっていう女性も多いし、どんな人生もしんどくて泣く日もあれば、これでよかったと晴れがましい気持ちになることもあるし、そんな一般化をされても、困るわ。それに女性の側にだって打算はあるのに、こんな風に接せられると、心苦しいというか、そういう心根を肯定できなくて、息苦しい気がかえってしない?

という気分になってきます。わたしが天の邪鬼なんでしょうか?
何よりも、男性の傍観者的なスタンス(マニュアルだからいいのかもしれませんが)が、とても気になりました。女性が傷つくときって、出産した女性の自己肯定からだったり、不妊女性が妊婦の姿に傷つく、それはそれで、そういう場面は多々ありましょう。ただ、森岡さんにお話をした人たちは優しいからいわなかったのかもしれませんが、わたしの周囲では(わたしの経験含め)、独身や子なしハラスメントをするひとって、圧倒的に男性で、男性が傷つけることのほうが、ずっと多いという意見を聞くのですけれど。それも悪意のある意地悪ではなく、時折こぼれおちる無意識の言動のほうが、問題あることが多かったりして。

「女のひとって大変だねぇ」「お話をよく聞いてあげなきゃ」ではなく、自分がそういうハラッサーになってはいけない、あなたもその構造を担っている社会の一員なのだから、そのことを意識ましょう。と、そこまで、一歩踏み込んであげて欲しかったです。要求しすぎなのは、わかっていますけれど。

恋愛マニュアルとしてはこれでいいかもしれませんが、女性の側(というものが一応あるとして)からみれば、この草食系男子はちょっと物足りないかな? 妊娠も出産も子育ても不妊も、まるで全部、女の問題であるかのようではないですか? 子どもをもたない男性は、「夜中に一人で泣き崩れてしまうくらいのしんどさ」に見舞われることはないんでしょうか? だとしたなぜ? 自分にとって、子どもとは何か、生殖能力を持たない男性にとって、不妊は何を意味するのか。傍観者ではなく、当事者として、自分自身の問題として考える経験を育まないと、「恋愛」は成就したとしても、「結婚」したときに、妻に愛想をつかせられかねません。

『草食系夫の家庭学』、第二弾としてぜひ読みたいです!!

(いろいろ書きましたが、全体としては本当に面白いです。とくに森岡さんが、素直に青春体験などを語られているあたりも秀逸)。

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No title

夜中に一人で泣き崩れてしまうくらいのしんどさ。ですか。結婚できない、あるいはそういうことをあきらめている男たちが、そういうしんどさ、を
本当に感じないと思いますか? 男である森岡氏がそう書いているの? あるいはあなた個人がそう思っている?とすれば、もし森岡氏が、男のしんどさ、に対してその程度の認識なら、何をかいわんやだし、女であるあなたが男のしんどさについてわからないのは当然だと思うが、それでいて、男の側の女に対する共感の無さ、傍観者的だなどと決め付けるのは、えらく勝手な話だと思いますね。

渡辺 淳さんへ

コメント有難うございます。

おっしゃっているパラグラフは、ほとんど森岡さんの言葉のまま要約したところです。

>「」で引用したところは、森岡さんが、ゴチックで強調しているところ。
と書いたので、わかるかと思ったのですが、紛らわしかったですかね。すみません。森岡さんが女性について書かれたところです。

わたしはむしろ、そういう「しんどさ」を「女性」の問題、「他人事」のようにではなく、渡辺さんのように、自分の(というか男性の)問題として捉えることも可能なのではないかなと思ったのです。紛らわしいと困るので「以上要約」とつけくわえておきますね。


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