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新自由主義

(2009-07-30)
まとめて原稿を書こうと思うと、ぐーっとひとつのことについて考えなくてはならないことが、かなり難しい。ひとつのことを中断されずに考えることも難しいけれど、実際に書くとなると、心のなかの雑念を追いださないと書けないので、それも難しい。

どんな些細な文章でも(報告書のようなものは別)、ある意味、心を澄ましていないと書けないようなところがある。

それはさておき。
新自由主義に対抗するってなんて難しいんだろうなぁと思う。

戦後の平和の枠組みでは、ラディカルでいることって容易かったのだけど、90年代以降の枠組みでは、むしろ「改革」を進める「保守」のほうが、ラディカルにみえる、というパラドクスがある。その枠組みって、きちんとまだ問い直されていないんじゃないか。

構造改革が非正規雇用、ワーキングプアを生み出し、セーフティネットは構築されておらず、というような意味では、それを批判するのは、容易くなってきた。ただそれでは、具体的にどうすればいいのか、ということを考えたときに、以前のような社会システムにはもう戻れないし、戻ることが共感を呼ばない。また新たな方策であったとしても、現実を知らない、単なる夢見がちなひと、古臭いひととしか思われない、ような社会の変化が起こっているんだなと思う。

もう廃刊してしまった『大航海』の1980年代特集で去年、1985年について書かせて貰ったけれど、この社会のジェンダー的編成を考えるときに、85年は大きなターニングポイントだと思う。日本型雇用を前提としたジェンダー政策と、男女共同参画的な達成主義的ジェンダー政策が同時に方向づけられたという意味で、今の社会のある種の矛盾を決定づけた年ともいえる。

ただ、ネオリベラリズムにかんしていえば、ネオリベがある種の閉塞感に風穴をあけたことだけは否定できないような気がするのだ。完全雇用に守られて、特定の人間だけを保護してきた日本型経営の社会は、確かに息苦しかった。会社の不祥事に、会社と心中して自殺した人間がいたなんて、今では信じられない、というようにいうことは、少なくともできるようになった。

今にして思えば、「アメリカ的リベラリズム」のある部分は、たんなるネオリベラリズムから来ていた部分は大きいのではないか。日本社会が「アメリカ化」しているのを肌で感じるときがある。それは正規雇用の解体といった点だけではなく、なんというか、ある種の「正義」(ときにそれが市場的価値だったりするのが)は守られるべきだという、自分の所属集団(職場に所属できなくなってきているから)以外に忠誠を誓うことが許されるといったような、そういうような変化である。またネットの匿名空間なら、いいたいことがいえるようになったという技術の構造的変化にも支えられているが。

少なくともジェンダーの問題は、劇的に変化した。女性の雇用の非正規化という意味では、悪い方向に。標準的ライフコースが崩壊しつつあることは、いい方向? でもそのライフコースが特権と化しているという意味では、あまり良くない方向に。

まぁこういう風に何も考えずに、思いつくまま原稿が書ければいいんだけど、やはりお金を貰う原稿は、論理的であろうと思うと、どうしてそうはいかないのである。残念…。

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