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ご無沙汰です。

(2011-08-29)
ご無沙汰しています。コメントいただいた方がいらっしゃるのに更新できず、心苦しく思っていました。しかし、年度末の会計(科研の締め切りが10日までだった)をやっと終わらせた11日に職場にいるときに地震に遭遇してから、あまりに目まぐるしい日常に、ブログを書く暇も気力もなくなっていました。

本当に激動でしたね。いや、まだ全然被災者の方々の生活は落ち着いていないし、福島の状況も終わったとはいえない。それどころか8月の地震で、いっそう放射能漏れが酷くなっているようですね(もう日本の報道を信じていないので、日本のニュースはきちんと追っていないのでテレビではどう報道されているか知りませんが。地震が起きたときには、アメリカにいたし)。

地震が起きた日は、なんとかiPhoneで帰り道を見つけながら、自転車を買って、サンダル履きで帰りました。どうしても帰らねばならず、9時近くに自宅付近についたときには、心底ほっとしました。ツイッターが機能していたので、JRがすぐには動かないことほか、かなりの情報が得られてほっとしました。家についたら津波の映像が繰り返し映し出されていて、本当に胸の痛いことでした。

それから次の日すぐに懐中電灯を買って、講演のキャンセルをし(そもそも電車が動いていないのでいけないのですが、電話もつながらず、メールの返事も来ず…担当者も職場にいけなかったそうです…連絡が取れずに困りました)、またほかの会議をキャンセルするかどうかメールで審議し(もちろんキャンセルしましょうと。被災された方もいらっしゃったのに、会議どころじゃない)、再び生鮮食品などを買って帰りました。停電になったら、冷蔵庫が使えないので、保存食ばかりになる可能性があり、生鮮食品を買っておきたいなと思ったのです。

レジではお米やペットボトルの水を買いだめているひとがいて、東京ではライフラインは生きているんだから、なんか大げさだなーっと横目で見たのを覚えています。結果としてはお米も水も、大げさなんかではなかったのですが…。

もしも原発事故がなければ、助かった命がたくさんあったと思います。今もまた苦しんでいるひとも悩んでいるひとも少なくとも現在よりは少なく、復興に向けて前向きに取り組めただろうと思うと、やりきれない気分になります。表向きには原発による死者はいませんが、…少なくとも救助されず亡くなったひとたちは間接的にはそうじゃないのかと思います。このあたりのことを考えると、本当に胸が苦しくなってくるので、通り一遍ですみません。これ以上、考えるのは辛いです。公式発表とかがあまりに信じられないので(漏れ聞く話とあまりに違うし)。

12日(13日?)にはメルトダウンの可能性をCNNが報じていました。少なくとも放射能は漏れている、と。爆発をいち早く知ったのも海外メディアを通してでした(CNNとBBCは入るので。CNNのほうが「科学的」でした。日本で見られるBBCとCNNの報道は危険を煽る偏向報道ではなかったと思います)と、日本のメディアの落差に眩暈がしました。3月いっぱいには、もうレベル7であることは常識になっていましたし(日本で正式にレベル7になったときに、「えっ、まだなってなかったの」とびっくりした)、ほかの地域にも放射能が飛散していることも明らかになっていましたし、「海のチェルノブイリ」だといわれましたし(わたしはフランスメディアから知った)…ただそういうことの意味がよくわかったのは、とくに海洋汚染に関しては、もう少し時間が必要でしたけれど。

そういう過程で、日頃覆い隠されているひとびとの間の価値観の違いが明らかになってしまっているように思います。何を危険と思い、何を大切だと思うのか。どういう判断をするのか。それはもう神々の闘争だというレベルだと。説得は無理だと思う。このような事態になってもつ人々の判断を変えるのは、生き方を変えろというくらい無理だという気がします。あとは、「交渉」していく、行政に「要望」していくことしかないのではないかと。

ときどきわたしにも原発の必要性を熱く説き聞かせに来る人がいますが、反論もしません。以前から、「原発ジプシー」に支えられているような制度は支持できないと思ってきましたが、今これだけの命と健康を賭けた被曝労働者が生み出されいて、多くのひとが家も土地も職業も健康も(そして命も)奪われているというのに、それでも原発を支持するべきだと説得しに来る人に、語る言葉がない気がするのです。理解不能。できれば国土を分割して別々の国に住めるといいのですけれど…。こちらの国には原発はいらないです。

(コメントをお返ししないとずっと申し訳ない気持ちが離れないので、コメント欄をこれから閉じます。メールやツイッターがあるのでそちらのほうをお使いください)。


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今まで書いた論文の一部を紹介します
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日本の近代家族について。ここ10年ほど書きためたものと、1990年代以降の変化を踏まえて日本の近代家族をどうとらえればいいのかの書き下ろし。
上野千鶴子に挑む
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アフタヌーンKCから出ていますが、いちおう対談本です。 もちろんカラスヤさんのマンガもふんだんに。
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